【書評】『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』
ずっと気になっていた本
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』
を読みました。
話題になっただけあって
すごく心に刺さる内容だったのでご紹介します。
きっかけはTwitterで仲良くしていただいている
ろこさん(@roco_odekake)のブログ記事を読んで。
【書評】『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』は確かに一生モノの課題図書だった | ろこトリ!
これ、ずっと小説だと思っていたんですが
ノンフィクションコラム集なんですね。
本を買った後もストーリー調で読みやすいので
途中までノンフィクションと気づきませんでした。
本の内容
舞台はイギリス。
元・底辺中学校に通う「ぼく」と「母ちゃん」
が経験する日常をパンクな語りで綴っています。
内容は主に人種差別、いじめ、格差など
重~いテーマが中心です。
でも著者のブレイディみかこさんの
塩っぽい口調と冷めた目線で
淡々と状況を分析する視点が本書の面白さです。
胸にささったフレーズ
以下に、読んでいて胸にささったフレーズをいくつか紹介します。
頭が悪いってことと無知ってことは違うから。知らないことは、知る時が来ればその人は無知ではなくなる
無知と頭が悪いは違う。
無知は知ることで解消される。
確かに子どもは知らないことが多いけど
頭が悪いとは違いますよね。
逆に「知ろう」としない大人は
無知のままで成長していない。
ただし、彼らだって知ることができれば
無知から卒業できる。
つまり「知る」は技術だってこと。
・自分たちが正しいと集団で思い込むと、人間はクレイジーになるからね
・僕は、人間は人をいじめるのが好きなんじゃないと思う。・・・罰するのが好きなんだ
今流行り(?)の「自粛警察」ってこれかもしれません。
「自粛するのが正しい」って自分たちは思っちゃってるから
自粛していない人を罰しても良いって発想。
で、さらに「私たちは我慢して自粛してるのに、
自由に動き回る人はずるい!許せない!」
って感情も出てきて余計白熱しちゃう。
出産・育児を経験してからは
もうこんな感情はほとんど湧き上がってこないけど
昔は結構やってたと反省しました。
どの差別がいけない、っていう前に、人を傷つけることはどんなことでもよくないっていつも言ってた。だから2人を平等に叱ったんだと思う。
これは自分の子どもにも伝えてあげたい考え方ですね。
「それは差別か?」って考えると、対象となる人によって
差別に感じたり、そうじゃなかったりしてしまう。
例えば、
女性には力仕事は頼めないわ~
という状況。
とにかく男女平等に!
と考えると男女差別に見えるけど
実際には男女の筋肉量は違うのは
当然なんだから適切な配慮とも言える。
ちょっと例えが悪いかもしれないけど。
差別って受け手の考え方に依存しちゃうんですよね。
でも「人を傷つけてるか?」を基準にすれば
ダメな理由がはっきりする。
子どもが大きくなって叱る場面が出てきたら
人を傷つけてるか?を基準に対応したいです。
この本を読んで
多様性って最近よく聞く言葉だけど
日本にいたらせいぜい男女、働き方の違い
くらいしか実感ないんじゃないですか?
人種もほとんどが日本人なので
日本人中心の社会に外国人が増えたね~
くらいの感覚。
人種が様々なのが当たり前、
宗教、社会階級、心の性もバラバラな人
ばかりのイギリスならではの内容です。
古い日本企業に対して
「色んな働き方に目を向けてほしいよね!」
なんて考えたいたこと
そのものが井の中の蛙でした。
いかに自分が無知かを知って
知ることの領域をこれからも広げていこう
と思わせてくれた一冊です。
***
それにしても、主役の「ぼく」は
まだ中学生なのにこんなにも深い洞察ができるなんて
さすがブレイディみかこさんのお子さんです。
うちの子もこんな風になってほしい?
んー、もっと純真無垢でも良いかな
なんて考えたりもしました(笑)
普段はコラム系の本に付箋をつけたりしないんですが
これは心に留めておきたいことが盛りだくさんでした。
やっぱり話題の本はそれだけに面白い!
まだ読んでない方は、ぜひ手に取ってみてくださいね!